2012/6 すてきれない 荷物の重さ まえうしろ 〜種田山頭火〜

 

2012年6月のことば

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2012年6月のことば

すてきれない
荷物の重さ
まえ うしろ 〜種田山頭火〜 


種田山頭火の一生は想像を超える「喪失の歩み」であったと思う。幼き頃の母の自死、裕福だった生家の離散、借金苦からくる親族の自死、突きつけられた妻との離縁…全てを失った彼は電車妨害騒動ののち、縁あって仏門に入り、放浪の旅に出る。まさに「何もない」ところから始まったその歩みは、広大自由な句の世界を遺し、のちの人の胸を打つ。
しかしこの句はどうであろう。それほど失い続けた彼にも、まだ捨てきれぬ荷物が前に後ろにあるという。無論見たままにわずかばかりの旅支度もそうであろうが、句の間からは人とのつながり、その中にあるおのれ自身といった、目に見えぬものを感じさせる。
無縁社会などとうそぶいてみても、人間はどこまでもつながりからは離れられない。それが「身」というものである。そしてそのつながりは、かならず場所を伴う。それを「土」という。宗祖親鸞聖人が大切にされた、身土に生きる人間の実相である。
さて、私たちの身の置きどころはどこだろう。そして捨てきれぬ縁に包まれたこの身ををどこへ運ぼうとしているのだろう。山頭火は謳う「どうしようもないわたしが歩いている」。
如来はそんな私たちを静かにご覧になる。

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