2012/4 地獄一定と思うてみれば 地獄極楽 用事なし 森ひな

 

2012年4月の言葉

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2012年4月のことば

地獄一定と思うてみれば 地獄極楽 用事なし

森 ひな

地獄とは仏教で六道の一つに数えられる。現世に悪業をなした者がその報いとして死後に苦果を受ける所とされ、ふつう誰しも地獄に行きたいとは思わない。
 ところが宗祖親鸞聖人は「地獄は一定すみか(住処)ぞかし」と仰った。聖人の深い人間観と罪業感によるものである。
そもそも自分には地獄に行くほどの悪業がないというなら幻想にすぎない。私たちは存在するだけでも 数えきれぬ縁に支えられてあるが、無縁社会といわれるように、その支えを自覚できぬならば、それは生命への冒瀆、罪業ではないか。
また、地獄はよく脅し文句のごとくに使用される。「そんなことをしていると地獄に堕ちるぞ」と。果たして「誰も行って帰ったことのない地獄や極楽」を人間の都合に合わせて利用していいものだろうか。宗祖聖人の言葉は、そういう「概念の地獄や極楽」を否定したうえで、地獄も極楽も今の私を強制的に縛りつけるものでなく、いずれに向かうかをこだわるものでもなく、ただいま無明な、恥ずべき我が身を知らしめようとしてくださっているのだよ、と教えられるようだ。
念仏に人生を捧げた「妙好人」と呼ばれる一人・森ひなは、地獄だ極楽だと生き惑い、今あることを忘れて生きる現代人の実相を静かに見抜いていたのかもしれない。

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