2014/11 大事なものが手に入らないのは いらないものを持ちすぎているのです 〜仲野良俊〜

2014年11月のことばふと思いたち、部屋の掃除をした。それも徹底的に。少し前に話題となった「断捨離」を決行したわけだ。そうしてみてあらためて、いかに多くの物に囲まれ、物に振り回されて生活していたか気づかされた。ひとつひとつの物はすべてその時の思い出である。だから捨てがたい。だが、些細なものでも積もれば山となり、自らを煩わせる。一説に人間は実に五万通りのにおいをかぎ分けることができ、すべて記憶と直結しているという。人生の時を過ごせば記憶と共に物に囲まれ、物に埋もれてゆくのは自然のなりゆきか。

仏教が説く人間の苦しみ、四苦八苦のひとつに「五蘊盛苦」という苦しみがある。五蘊とは、人間のもつ五つの基本的な働き、つまり色(身体とそれを維持するすべてのもの)・受(それを自らの中でうけとめる機能)・想(そこから何かをイメージする機能)・行(そのイメージを行動にうつす機能)・識(記憶そのもの)であるが、それが盛苦、すなわち盛んであることに苦しみが伴うというのだ。
誰もが持っている五つの要素は、それが盛んであり、満たされている状態であるからこそ執着が生まれる。物や事に執着すれば、他のことに目が配れなくなる…ここに苦が始まる。釈尊も宗祖もそうであったように、出家といって一旦、物と情報を手放すことで、自分を見つめ直す旅は始まるのだろう。
仏教は何も珍しいことを教えようとしているのではない。日常に埋もれた「あたりまえ」にスポットを当ててくれる。 /end

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2017年7月のことば

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