2015/5 なにものが 苦しきことと 問うならば 人をへだつる 心と答えよ〜良寛〜

 

2015年5月のことば子ども好きで知られる良寛。それは晩年のエピソードで、若い頃のことはあまり分かっていない。それは彼が住むところや組織にあまりこだわらなかったからだともいう。一方で彼にはこだわりの一面も持っていた。それは「書」である。かつて師から「書は建築である」と教えられたが、一本の線、一つの点を打ち損ねても全体が崩れてしまう。そこにこだわりを持ち続けた良寛は書の達人である。

さて、現代社会のこだわりは、すべての面倒を取り去ることにあった。そしてあらゆるものがサービスに換算され、生きてゆける時代となった。誰の助けも必要とせず、誰かと会話をするため、出かける必要もない。そうした個を中心とする便利な世界ができあがった。そしてその反面、現代人は関係性に飢えている。切り捨てた地域社会の姿を、どこかで懐かしく感じている。テレビの特集で山村に生きる人が紹介されるのもその現れだろうか。切り捨ててみたり、懐かしんだり。近代の人間はそうしてふらふら生きてきた。

古いドラマで紹介された話に「人という字は支え合って存在する」とあるが、まさにそのとおりだ。存在だけではない。「面倒な関わり」と「人の温もり」は紙一重。どちらが欠けても成立しない。両方が大切であるのに、私たちはどうしていつも、その一方だけを選び取ろうとするのだろう。

苦しみは、外から来るのではなく、「ひとをへだつる」自身の生きる姿勢にあるようだ。良寛のようにこだわりの両側面を見つめてゆけないものか。

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2017年7月のことば

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