2016/2 毎日ごはんを食べている 茶わんのもようが言えますか 東井義雄
2016年2月のことば

2016年2月のことば

教育者・東井義雄氏が版画家・長谷川富三郎氏の著書でこの一節に出遇われたという。「はてな、わしの茶碗の模様、どんなんだったかいな」。どうしても思い出せない。自分だけかと思い、奥さんに「お前のご飯の茶碗の模様、ちょっというてみい」とたずねてみれば「さあ?」…。

みなさんはどうだろう。私は氏を笑えない。全く思い出せなかった。東井氏は「毎日キスしながら、相手の模様が言えない。(中略)粗末な出会いをやっとるんです。茶碗はこれでも赦してくれますが、人間の出会いも近頃こういうことになっとるんじゃないでしょうか」と仰る。

人と人が出会うということは、単に顔を合わせているだけではない。とてつもない互いの背景(縁)の重なり合いが起きているのだ。この手、この足、この顔は、誰が作ったのか。科学的に「DNAという設計図の業」だとしても、その設計図は誰がこしらえたのか。またその設計図どおり保つためにどれだけのイノチを食べ、どれだけの人(イノチ)と関わっただろう。茶碗ひとつとっても考えようのない、不可思議な働きに包まれてあることを知る。人間はそうして日々「出遇い」つづけている。

この実感こそが「他力」である。毎日を「自力という思い込み」で生きている場合ではない。仏法のことは、急げ急げ。

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2017年7月のことば

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