2017/5 天命に安んじて人事を尽くす〜清沢満之〜
2017年5月の言葉
2017年5月の言葉

天命に安んじて
人事を尽くす
〜清沢満之〜

元の言葉は「人事を尽くして天命を待つ(読史管見)」である。人が力を十分に尽くし(人事)、結末は天命(運命)に任せるという。だが明治時代に真宗教学を刷新した清沢満之は「天命に安んじて人事を尽くす」。人事と天命が逆になっているわけだ。

私たちはまず「自らの努力」を尽くさねば、尽くせるはず、と言う発想に立つ。そしてできない者は弱く、情けないと考える。「他力本願」を誤用する人はこの発想しか持てていない。

「自らの努力」とやらを真に突き詰めればどうなるか。親鸞聖人はそこに気づかれた。私の努力とは“あらゆる他によって賜った機会”にすぎない。「自力」とは目に見えぬ無量の「他力」に支えられた上の出来事ではないか。清沢はこの思想に出遇い、そしてそれを絶対他力と呼び、安んじた。

日々人事を尽くせているのは、人事を尽くせる他力に安んじていられるからなのだ。人事を先に立てれば、きっと天命に対して不安と不満が残るだろう。しかし天命に安んじた人事からは、いまこの瞬間を悠々と自適に生きる世界が見いだされる。尽くせてよし、また、尽くせずともよし。と。

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