2017/4 正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい …〜吉野弘〜
2017年4月の言葉
2017年4月の言葉

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい
〜吉野 弘〜

吉野弘氏の「祝婚歌」の一節である。新年度を迎え、さあこれから頑張るぞと誰もが意気込むこの季節、吉野氏のこの一節で少し自分をクールダウンさせるといいかもしれない。

私たちは常に自ら描いた完璧さ・正しさをもとめる。これを仏教では「定(じょう)」という。しかしどうだろう、平素、すぐに気が散って定まらない、完璧になれないのが私たちではないか。何事も飽きてしまったり、うっかり記憶から抜けてしまうではないか。これを仏教では「散(さん)」という。

多くの人が「定」をよいこととし、「散」をわるいことと考える。そしてそこから他者を安易に攻撃してみたり、あるいは自らを卑下し、結局は互いに傷つけあう。「真の仏教」とは定でもなく散でもない。「その間に立つ」ことを大切にする。大切なことだがよく忘れられているようだ。

たとえば釈尊は苦行の末に悟りを開いたのではない。苦行を去り、穏やかな心で自らを見つめ、静かに悟りを迎えられた。親鸞聖人も苦行の中で念仏に出会ったのではない。法然上人とその仲間にやさしく包まれ、苦行の日々を越えて念仏に出遇い直された。仏教ではこの姿を「中道(ちゅうどう)」という。「定」や「散」に偏り過ぎないことが大切。私たちは偏る生き物だから。吉野氏の言葉がわたしを照らす。

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2017年6月のことば

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