2010/08 「すべての自力は 他力に支えられてあった」

2010年8月の言葉

2010年8月のことば

「すべての自力は 他力に支えられてあった 鈴木章子」

「努力すれば必ず報われる」という意味合いの言葉をよく見かける。何も今に始まったことではない。いつの時代もこういう言葉たちは姿を変えて現れ、人間を勇気づける。確かに生きることに迷った時、こういう言葉に救われることは多い。
だがこういう言葉は「仏教語」ではなく、単なる「道徳」にすぎない。道徳は道を修める姿勢を教えてはくれるが、人生の真実については態度を濁すものである。努力したとて必ずしも報われないことがあることを私たちは知っている。従ってこれらの言葉を「仏教語」と標榜することは決して許されることではない。残念ながら昨今の仏教を標榜する思想にはこの感性が抜け落ちているかのように見える。
真実の言葉は時に人間の都合を超越する。だから一見理解しがたいものもある。それでよい。人間の浅薄な「理解」を超えたところに人生の真実に対する光が届く。その真実に出遇った人が、人間を超えて発することば、それが法語である。鈴木章子氏は癌に侵されるまで自らの力(自力)に頼って人生を切り開くことを是とされていたという。しかし、それでは間に合わないことをまさに他力によって知らされ、真の念仏者としての歩みを始められた。
さて、残念ながらいまなお「他力本願」を「他人の力に頼ること」と大いに勘違いしている人が多いという。他力とは自力を超越してある絶対的はたらきである。他力=他人の力という俗的かつ単純な感性は捨てねばならない。人間は自分でもなく、他人でもなく、大いなるいのち(寿)に願われ支えられて、今、ここにあるのだ。

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