ブログ記事

すてきれない 荷物の重さ まえうしろ 〜種田山頭火〜

2012年6月のことば

 

井上井月伝説

井上井月伝説・おすすめです。

6月ブログようやく更新できました。
今月は掲示板も新聞も早々にできてましたが、なんといちばん最後にウェブを更新というありさま。

実はほぼ「すべてを擲つほどに」鋭意製作していた動画がありまして、
それを仕上げるのに帰宅もロクにせず、職場に缶詰でした。
この動画はそのうち難波別院の名前で公開されるでしょう。
今後どうやら大学などでも教材に使って頂けそうで、感謝しております。


さて、今月のことばは、種田山頭火より。前から気になっていた方です。
気になりだしたきっかけは漫画家のつげ義春が、江戸時代の放浪の俳人「井上井月」の生涯を描いていたところから。


つげ義春は井上の一生に自分の人生を重ねつつ、強く惹かれたそうですが、
種田山頭火もまさにその一人。井上のお墓にお参りもしています。
つげさんは不安定ながらも 漫画家の生活を送っておられますが、
山頭火は文字どおり井上のごとく、放浪の俳人として生涯を送ります。

冒頭に「すべてを擲つほどに」と括弧書きしたのは、
私自身そんな言葉を使いながら、結局なにも擲っていないということ。
わたしはつげ義春さんサイドに生きてるな〜と思うのです(それもおこがましいか)。
自分の現状が嫌で、いろんなことに手を出して失敗するところや、
どうでもよくなってときどき全部放り出してしまいたくなるところ、
そのくせ放り出しもできずに鬱々としているところ。
つげさんのマンガを読むとすごく共感を覚えます。

井上や山頭火 のように本当にすべてを擲つ勇気はありません。

その山頭火が「すてきれない」と詠むところに、
つよく惹かれました。


棄てたとおもっていても、棄てられないもの。
それは私自身のこの「身」だと思います。
喰わねば保てず、交わらねば心が折れる。
そういう棄てきれぬ身をかかえて今を生きています。
だから「まえうしろ」に「重さ」を感じているのでしょう。

井上井月2

晩年子どもに石を投げつけられても怒らなかった井上

そしてその身はかならず「大地」に立っています。大地とは「居場所」のことかと思います。
だれしも無意識に居場所をさがしています。
指定席でもないのにいつも同じ所に座ってみたり、家族の中、職場の中で居場所を探してみたり。

仏説無量寿経では尊者阿難が”座”よりたち、
仏説観無量寿経の中では韋提希が釈尊に頼みます。
「憂悩なき”処”を説きたまえ」と。
苦しみ、なやむことのない場所を誰もが求めていて、
それがきっと、お浄土なのですが。
願わくば、そこに安住したいのです。
だから親鸞聖人は浄土のことを「願土」とおっしゃるのでしょう。

・・

・ 
さて、どうやら現代人は、すてきれないものに囲まれて、
その重さに目を閉じ、どこに向かうべきかをすっかり忘れてしまっているようですね。

きのう、大飯原発が再稼働することになりました。
自らの大地を、居場所を傷つけてまで、いったい何を必要としているのでしょうか。
製造したものを処理出来ない段階で、この業種は「終わっている」というのに。

そこにしがみついてそこを「居場所」と信じている人たちは、実体化できないものを実体化して満足しているのでしょう。
ひとたび手がつけられなくなれば、人の大地を奪う技術なのです。

再稼働させたい方にも居場所があるでしょう。
でもその居場所たる給料は、その生活は、人の居場所を奪う前提に立てられているといっても過言ではありません。
かつて平野修先生が「化身」の問題とおっしゃいました。
ほんどうの大地ではないと思います。


ウソを立ててそこに満足している。
自分の生活のみを考え、その生活がまき散らすものに目をつむる。

早晩、この国は居場所を失う人だらけになるのではないでしょうか。
漂泊しているこの国に、思わず手が合わさります。どこへいくのだろうと。

曽我量深先生が「真宗再興の精神」と謳われた、
「歎異」のこころをいただきつつ、
しずかにこの先を見つめてゆきたいと思います。

・ 

 


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