ブログ記事

皆さんは 待たれて いるんだ 〜酒井義一〜

2012年12月の言葉
忘年会シーズンですよね

忘年会シーズンですよね。お身体大切に。

今月も半ばというのに、今月の掲示板、やっと更新できました。

 

いつもいつものことですが、今年も一年が瞬く間に過ぎてしまった感をかみしめています。

 

さて、人間はどこまでも『空過』してゆく存在です。
その原因の一つに、私たちに「忘れる」能力があることを思います。とはいっても忘れる事は大切です。なぜなら楽しい思い出はより楽しく、また辛い思い出は「ひにち薬」の言葉のとおり、いつか忘れ、癒やされてゆくからです。

 

ただし、だからといって「忘年会」の言葉の如く、忘れることを肯定し、あぐらをかいてしまうと「ただ忘れ去るのみ」となってしまいます。

実はここが『空過』の正体ではないでしょうか。

忘れる我が身は受け止めつつも、悼むこころを失わない。振り返る、省みる気持ちに立てるかどうか。ここに頭のさがる世界があるように思います。いろいろ失敗はするんですよ。でも、その身のままにそうであったと懺悔することが、お念仏の智慧に出遇う唯一の道かと思います。

 

その先には何があるでしょう。

 

それは忘れえぬ過去がそのままでよかったと受けとめられる生き方です。現状の改善や、未来の救いを説く宗教があまりにも多いですが、ひとつ間違えると単なる偽善に転ずる恐れがあります。つねづね申していることですが、本当の救いは「過去が救われる」ことにあるのだと思います。

過去が救われる、ということについていつも思うのですが、それは『観無量寿経』下下品のことです。あそこでは、せっぱつまった臨終の時、しかも自己の一生造悪・具諸不善に気づき、この極限状況に七転八倒している愚人が、善知識に遇って、「仏を念ぜよ、心に仏を念ずることができなければ口にだけでも仏のみ名を称えよ」と教えられ、ついに信心の決定したようすがのべられておりますが、その念仏によって「八十億劫の生死の罪が除かれた」とのべてあります。この「八十億劫の生死の罪が除かれる」ということは、過去が救われるということではないでしょうか(寺田正勝氏「 念仏もうすのみ」より)。

私もかつて藤井真隆氏に「死の間際の罪人がいったいこれから何を改善できるでしょう」と問うてもらって、はっとさせられたことががあります。

 

真実の救いとは『過去が救われる』ことにあると思います。過去がそのままよかったといただかれたならば、現在はいっそう光かがやきます。そしてその先にこそ未来があります。念仏の教えはここを説きます。ゆえに「真実の教え」なのだといただいております。

 

過去が救われるはたらきは私の側の能動ではありません。むしろ「お前自身の闇に気づけよ」「お前自身が間違いなのだということに気づいてくれよ」と私たちは日ごろから常に「待たれている」。受動なのです。そう感じずにはおれません。過去をいただくとは生半可な気持ちではできません。それほど私たちは自分がかわいいのです。「俺は絶対に正しかった」「めんどくさいことは忘れてしまいたい」「過ぎたことは言わないで欲しい」…なかなか素直になれません。

・今月の言葉は酒井義一先生のブログからいただきました。そこには、

私の歩みが始まることを親鸞は今も待ち続けている。皆さんは待たれているんだ。

とありました。嬉しくなりました。そうだ待たれているのだなと、目の前があかるくなり、この言葉をかみしめさせてもらいました。歩みは自分の意志では始められません。
このパラダイムシフトに現代人はなかなか立てませんよね。往々にして「自分の意志」ほど頼りないものはないというのに、そこを見つめられないからだと思います。

 

「忘年」に過ぎず、来る新年をしっかりお迎えしたいものですね。来年もどうぞ宜しくお願いします。

 

(翫湖堂だより12月号青々翠竹コーナーより・一部ウェブ用に書き換え)

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