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教如上人400回忌法要〜湖北門徒衆の姿に思う

教如上人と五村別院

ご無沙汰しております。
今月の掲示板、すでに月初に境内には貼り出しては居りますが、
肝心の翫湖堂が一向に進みませんのでウェブ公開が出来ずにおります。お許しを。
また本日は大変長文です。加えてお許しを。

さて、もうすでに先週の話ですが、
教如上人400回忌法要が勤まりましたね。
本山だけじゃありません。
全国各地で勤まったと聞きます。

教如上人と五村別院

教如上人と五村別院

私も御逮夜の4日は前の職場でもある
難波別院でお勤めさせていただきました。

明けて5日は、
五村別院の法要に出仕させていただきました。
五村別院は教如上人の墓所でもあります。
伝えによれば、上人が秀吉によって本願寺第12代を僅かの期間で隠退させられたとき、湖北の門徒衆がそれならこちらにお迎えする!と建立されたのが濫觴であるという、熱意を感じる別院であります。

晨朝とはいえさすが、すでに熱気充満、
本堂はほぼ満堂に近い状態でした。
お話は湯次方の佐藤義成先生。
実は直前まで一緒に出仕していました。
佐藤先生の凄いところは法話に行かれても控室におらず、「一緒にお勤めをさせて貰い、一緒に法を聞かせて貰う(本人曰く)」まさに湖北の「もらわぁた」精神(後述)を具現化しておられるところかと思います。見倣いたいものです。…なかなかできませんが。

 ・

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五村別院南側にある教如上人の墓所

晨朝後は報恩講の時と同様、
五村別院の庫裏で食事をいただくのですが、これがまた古いりっぱな庫裏でして、お内仏もしっかりしています。
天井が高く、かつては薪で煮炊きをして煙が充満していたのでしょう、真っ黒の柱が印象的でした。いつ来てもこの庫裏には感動します。

DSC_0126

熱い湖北の門徒さんは、教如上人の銅像まで建ててしまいました。

日中は音楽法要でした。
御遠忌を経て作曲された新しい音楽法要は、
言葉とメロディの関係が素晴らしく、
個人的にはとても好きです。
殊に、回向の部分「安楽国に生(あ)れ 生きてはたらく身とならん」
という表現がすごいなとおもっていたのですが、
実はここ、前宗務総長の安原晃先生が言葉を選ばれたそうですね。
さすがは俳諧師・安原葉 師。美しい日本語といいましょうか、普通なかなかこういう表現は思いつきません。

日中後は青木馨先生のお話でした。
残念ながらこのとき所用で充分にお話がお伺いできなかったのですが、
ちらっとのぞいた本堂は座るところがなく、
まさに湖北の熱気。来れて良かったと思いました。

DSC_0150

山門は重要文化財です。

面白かったのは法話の後。
國友鉄砲隊による演武がありました。
あまりにも珍しかったのでつい動画を撮ってアップしちゃいました。
一応許可も取ってます。
どうやら許可要らんような風でしたが。
このユルさ、長浜らしいな。好きです。

↓大きな音がします。ご注意を。

DSC_0133

有名な「破闇」の燈籠。教団問題当時、合言葉のようになっていたと言います。

ここで國友鉄砲から連想しまして、湖北門徒について思うところを。
大坂拘様から後、石山本願寺を退去した教如上人は、
先に退去されていた鷺森の父・顕如上人の元に向かわれますが、対面を拒否されます。
そこへ織田信長が襲いかかるわけですが、どうしたわけか教如上人は行方不明。
で、ひょっこり表れたのがこの湖北地方〜美濃、そして三河の広い範囲だといいます。完全に体制側を煙に巻いとるわけです。凄いぞ門徒衆ネットワーク。

上場顕雄先生からお伺いしたところ、和歌山の雑賀鉄砲隊の援護があったことはおそらく間違いなく(歴史秘話ヒストリアでも紹介されていましたね)、そこから何らかのルートで脱出したといいます。
個人的に思いまするに、ここに湖北門徒も強力に携わっていたであろうことは、疑う余地もないのでは。

しかし湖北門徒にがどうしてここまで教如上人に思い入れが強いのでしょう。
(もちろん湖北門徒に限ったことではありませんが)
それは今の時代感覚では想像も付きません。
一つ感じるのは教如上人が
「高いところに座っておられなかった」ということでしょうか。
当時門跡寺院の格を得て、いよいよ中央集権成し遂げつつある本願寺。
たとえそれが時代の趨勢であったとはいえ、
ご門徒衆にとっては遠く寂しい存在になりつつあったのかもしれません。

教如上人は気さくな方だったと聞きます。加えてあの体躯。
魅力を感じないほうが不思議ですね。

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まわりぼとけの年に一度の集大成「御越年(ごおつねん)」。乗如上人と達如上人のお講です。教如上人以来の熱い想いを感じます。

それから湖北門徒でもうひとつ。
湖北には「まわりぼとけ」という行事があるんです。
私もたまたまの御縁で寄せて戴いたことがありますが、「門徒の行事」なのです。
門徒さんが自分達でするから、価値がある。そう考えて居られます。そこには「何か本当に大切なものに出遇った」人の迫力があります。はっきり仰る方なんか、「お寺さんは客人や。お勤めと法話だけしといてくれたらええ」とも(笑)。とてもとてもかないません。

最近思いますが、私たち(僧侶は特に)揃って、
何か方向性を間違えてきたんじゃないですかね。

湖北の方言に赤ちゃんが生まれると
「もらわぁた(貰った)」というのがあります。
若い奥さんにしてみたら「失礼な、貰ったのとちがいます、私が産みました」と憤慨されるそうですが、これ、意味がちがいますよね。
そして人が亡くなったら「死んだ」じゃないんです。「参らしてもろた(貰った)」と言うんです。
あらためて凄い言葉だと思いますす。

近現代の感覚じゃぁ、ちょっとわかんないかも知れませんね。
いのちは誰のものか。
どこから来てどこへ行くのか。…あまり課題にすらなっていないように思います。
実はこれだけ近代科学が発達したって戦国時代と答えはかわらないんですよ。


いのちはだれのものでもないんです。
我々はどこから来てどこへ行くのか知らないのです。それが現実。

自分という意識がはっきりしているのは、
生まれて暫くたたないと身につきませんし、
死ぬ直前はわからなくなるといいます。
偉そうにしていても、私たちはいのちの前後を知らないのです。
(知ってるという人もいるようですが、人間的にも宗教的にもこりゃ重症です。)

だからこの世の仕事はすべからくいただきもの。
「させて貰う」これは念仏です。
この気持ち、今の私たちよく忘れてますよね。
「シテヤッテいる」または「する権利がアル」ってね。

湖北の門徒さんたちは、伝統として生活態度として、方言にまでなるほど、すでに体中で念仏申しておられたのです。
もしかすると、今やってるような、
寺院組織が「計画」して「目標」立てて「伝導する」なんて
何様じゃと思うんです。ふと。
逆にこういうひともいますね、「組織が何をしてくれるんや」。
こちらにも申し上げたい。何を甘えとるんや。と。

坊さんに限らず、そういう感覚の方が大反省しないといけない。そう思います。
とにかく、方向性が違うのです。

それを肌で感じた教如上人400回忌法要でした。

最後に。
翌10月6日は、
教如上人以来ずっと法要を継承されてこられたお講のひとつ、
五日寄講(いつかよりのこう)の400回忌法要、
式事を勤めさせてもらいました。感無量でした。

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五日寄講(いつかよりのこう)お斎。簡素ではありますが、そこにこそ深い願いが伝えられているようです。

そのお斎の席でのこと。
「粗末な食事ですみません」と出されたお斎は、かつて教如上人を守るため、戦場(いくさば)に赴く門徒衆が、今生の別れの最後の食事として摂ったという、にぎりめし(今はお茶碗に御飯となりました)、味噌汁、漬け物、そして教如上人のお好きだったお酒という品揃えだったのです。
涙が出そうになりました。
人間の思いや人生は有限であり、どうしてもやがて死という結末を迎えてゆきますが、その思いは消えないのだなと。これが継承なのだなと。

あちこちいきましたが、
教如上人400回忌は私にとってそれほど大きな行事でした。
生意気にすみません。
ここまでお読み下さった方、
本当にありがとうございました。

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