和讃に聞く第5回・光雲無碍如虚空
ひかりとくも

ひかりとくも…人間の想像では追いつかない光雲です

今回は、浄土和讃の4です。

  光雲無碍如虚空
    一切の有碍にさわりなし
    光沢かぶらぬものぞなき
    難思議を帰命せよ

■「想像もつかない…難思議」

今回も光がテーマです。

光の雲とはどういうことでしょう。雲は季節や天候、時間によって自在に姿を変えます。自由自在(無碍)であるということです。最近、新聞記事でもクラウド(雲)という言葉が紹介されていますが、この場合、コンピューターなどでいつでもどこでもデータが引き出せるサービスのことです。

つまり、雲とはいつでもどこでもという万国共通の時代を超えた表現とも言えます。この自由自在な姿も、ここしばらくの和讃を貫くテーマ、「光」のはたらきをあらわしているのです。光は瞬時にという姿も持ちます。まさに自由自在・瞬時に阿弥陀如来のはたらきは私たちの所に届いているのだ、という姿なのです。

さて、阿弥陀如来のお姿は、普段、私たちが拝している像では表現しきれていません。どんなお姿かは経典の中で「三十二相・八十種好」という数で示されます。要するにどれほど人間の想像力をもってしても表現し尽くせないのです。だから親鸞聖人は「色もなくかたちもましまさず、ことばもたえたり(色もないし、形も持たれない、言葉では表現できない)」と仰いました。

形を持たないということは、形にしばられません。それだけで「自由」(さわりなし)ということです。「光沢かぶらぬものぞなき」とあるように、光のはたらきが届かない人はいません。仏さまの光は、あらゆる方の人生の場面を、常に照らしてくださっているのでした。さて、その光に気づかない・気づけないのは誰でしょう…こちら側に問題があるとは思いませんか。

また、そのはたらきは「虚空の如し」といわれます。

これはどういうことでしょう。…虚空とは、むなしいという意味ではありません。たとえば私たちは誰もが「量」をもって生きています。お湯を張ったお風呂につかれば、お湯をざばーっと追い出す身です。たとえば今、私が座っている場所に同時に別人が座ることは出来ません。席を譲る必要があります。そのようにお互いにひしめきあって生きているのが私たちの実相です。

人間のそういった実相と異なり、押し合いへしあい、苦しんだり憎しみあう必要のない処が浄土です。虚空とは、浄土には定員がなく、念仏をすれば誰でも必ず迎えてくださる、必ず入ることができるといううのです。そういう人智では想像もできない広さが、ここでは「虚空」と表現されているのです。

さて、いかがでしょう。言葉で聞くと、つい想像したくなるのが人間です。しかしその想像こそが、自由自在(無碍)を妨げ、日常を縛り付けているのです(有碍)。だから前から申しておりますように、「人間程度の知恵・知識で考えても無駄」なのです。よって「難思議」といいます。ついつい理屈で考えたがる人間の性分をおみとおししなのですね。

その難思議に「帰命せよ」…その不思議に素直に手が合わさるかどうかを問うてくださっているのです。親鸞聖人は「帰命せよ」という言葉で、お念仏によって私たちのしがみつく人智を超えてください、と呼び掛けてくださっているのです。

すべて理詰めで考えたがり、理解できないものを信じない現代文明の闇を見通していますね。本願は時代を超え、今まさに、私たちを照らしてくださっているのです。気づいたものにはもちろん、気づかないものにまで。

(第5回終わり)

この文章は、眞廣寺寺報の「翫湖堂だより」に連載したものを必要に応じて一部加筆したものです。

2017年4月のことば

2017年4月のことば

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい
〜吉野 弘〜

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