和讃に聞く第6回・清浄光明ならびなし
2014年9月8日、仲秋の名月

超日月光ってどんな光でしょう(2014/9/8撮影)

今回は、浄土和讃の5です。

  清浄光明ならびなし
    遇斯光のゆえなれば
    一切の業繫ものぞこりぬ
    畢竟依を帰命せよ

■「十二のひかり」

「光」のご和讃が今回も続きます。これまで触れてきませんでしたが、仏智の光のはたらきは次の12種類に表されます。

1 無量光 量(はか)るということと、そもそも関係すらない光
2 無辺光 辺がない、つまり際限のない光。
3 無碍光 何者にも遮られることのなく、影すらできない光。
4 無対光 くらべるもののない光。
5 炎王光 最高の輝きをもつ光。
6 清浄光 衆生の貪(むさぼ)りを除く清らかな光。
7 歓喜光 衆生のいかりを除きよろこびを与える光。
8 智慧光 衆生のまどいを除き、仏の清らかな智慧を与える光。
9 不断光 常に休むことなく照らしてくださる光。
10 難思光 人間の知恵では思いはからうことができない光。
11 無称光 説きつくすことができず、ひとの言葉もおよばれない光。
12 超日月光 太陽と月の光を合わせたよりも、超えすぐれた光。

…これら光の名前ですが…どこかで聞いたことがありませんか?…続けて読んでみましょうか。…無量、無辺光、無碍、無対、光炎王、清浄、歓喜、智慧光、不断、難思、無称光 超日月光…もう、おわかりですね。「正信偈」にはこの光が全てうたわれてあります。

今回は6番目の「清浄光」がご和讃の頭に示されていますが、それは同時にこの12の光全てを讃えておられるのです。これら全てのはたらきを備えた仏の智慧とは、他にならべて比べることができません。そしてこの光に遇うことで、一切の業と繫縛(けばく・とらわれの思い)から解き放たれるのです。

そんな光がどこにあるのでしょう。じつは常日頃より私たちに届いているのです。気づかないのは私たちが目移りする毎日を送っているからに他なりません。それでもふとした拍子にこの光に遇うことがあります。すでに届いているのですから、何もしなくても遇えそうなものですが、それだけ私たちの日常は目移りだらけ。それが業であり、繫縛なのです。

親鸞聖人は「ぜひとも斯(こ)の光に遇(あ)ってください」と勧められます。仏の光に遇うために、私たちは人間としてこの世に生まれてきたのです。次に生まれ変わって人間となる保証はどこにもありません。なぜなら私たちは人間として再び生まれてくる方法を知らないからです。

多くの仏教では、「仏の光に遇うため、私たちが一心不乱に我が身を見つめ、目移りや心変わりを一切廃してゆかねばなりません(断惑正理)」と説かれます。もちろんそのような修行が徹底できればよいのですが、悲しいことに、何事も末通らない私たちにはできそうにもありません。そこで残されただ一つの方法が「お念仏」なのです。

念仏の行はすでに阿弥陀様の側で完成してくださっておられます。私たちにできることは何もありません。なぜなら何かをすれば、私たちは自分の手柄にしたくなったり、より丁寧に行うために、いろんな余計なもの(雑行ぞうぎょう)を付け加えたくなるではありませんか。許されることはただ一つ、「我が名(阿弥陀仏の名)を呼んでください」このことただ一つを阿弥陀様は願っておられるのです。それ以外の付け足しはすべて「有量(はかる)」ということになってしまいます。姿勢も服装も時間も心持ちも問わず、「ただ、念仏」なのです。…実は私たちはそうやって「余計なものをそぎ落とす」ことが苦手なのでした。付け足して、付け足して、わざわざしんどくして、何か達成したつもりになってはいませんか。

念仏はそういう人間の傲慢な心を究極までそぎ落とした行なのです。その証拠に「行うのはたやすくても、信じることが難しい」でしょう。これこそが仏によって照らされるべき人間の「闇」なのです。

阿弥陀仏の御心に沿い、ひと言、合掌し、念仏を口に申すことで、煩悩の身はそのままに仏の光に遇うことができると約束されているのです(不断煩悩得涅槃)。

畢竟するところ(とどのつまり)、乱れ切った現世を生きる私たちにはこの方法しかありません、と親鸞聖人が感得された喜びを顕されたのがこのご和讃なのです。

(第6回終わり)

この文章は、眞廣寺寺報の「翫湖堂だより」に連載したものを必要に応じて一部加筆したものです。

2017年5月のことば

2017年5月のことば

天命に安んじて
人事を尽くす
〜清沢満之〜

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